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【徹底解説】請負契約と準委任契約の違いとは?システム開発における重要な契約形態

2025.06.20

システム開発やITサービスを提供する際、契約の形態としてよく用いられるのが「請負契約」と「準委任契約」です。

一見似たように見えるこの2つの契約形態ですが、業務の進め方・責任の所在・報酬の発生条件などにおいて、大きな違いがあります。本記事では、それぞれの特徴や違い、どのような場面で使い分けるべきかをわかりやすく解説します。


1. 請負契約とは?

請負契約は、「完成責任」が求められる契約です。
民法第632条では、以下のように定められています:

「請負は、ある仕事の完成を約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」

つまり、成果物が完成して初めて報酬が支払われるという仕組みです。
たとえば、あるシステムの納品が請負契約で行われている場合、納品して初めて報酬が発生します。

▼ 請負契約の特徴

  • 成果物の完成が目的(成果物責任)
  • 完成しなければ報酬は発生しない
  • 瑕疵担保責任あり(納品物に不具合があった場合の修正義務)
  • 業務の指示は原則として受けない

2. 準委任契約とは?

準委任契約は、「業務の遂行」に対して報酬が発生する契約です。
民法第656条を基にする委任契約に準じており、成果ではなく作業自体の遂行が契約の目的になります。

IT業界では、エンジニアの常駐支援や運用保守、要件定義支援などの業務において、この契約形態がよく用いられます。

▼ 準委任契約の特徴

  • 業務遂行が目的(作業責任)
  • 成果物の完成は問われない
  • 報酬は作業時間や期間に応じて発生
  • 発注者が業務指示を出すことができる(ただし雇用関係ではない)

3. 請負と準委任の違いを表で整理

項目請負契約準委任契約
主な目的成果物の完成業務の遂行
報酬の発生成果物が完成してから業務を行った時間や期間に応じて
指揮命令系統原則、受けない(独立して作業)指示を受けることがある
責任の範囲完成責任、瑕疵担保責任善管注意義務(丁寧に遂行する義務)
契約の例システム開発・Webサイト制作など要件定義支援・運用保守・PMO支援など

4. IT業界での使い分けの例

✅ 請負契約が向いているケース

  • 明確な成果物がある(例:ECサイト構築、アプリ納品)
  • 納期・スコープが明確で、契約時に要件が固まっている

✅ 準委任契約が向いているケース

  • 仕様が変動する可能性がある(アジャイル開発など)
  • 要件定義やコンサルティングなど、業務支援が中心
  • 常駐での業務支援、工数ベースでの契約を行う場合

5. まとめ

請負契約と準委任契約は、それぞれメリット・デメリットがあります。
プロジェクトの目的やフェーズ、業務内容に応じて、適切な契約形態を選ぶことが重要です。

弊社では、初期の要件定義支援から開発・運用まで、契約形態を柔軟に対応可能です。
プロジェクトの目的やご予算に合わせて最適な進め方をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。


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